GOTCHI
GOTCHI
いい夫婦の日に職場の人と飲み会をした。クリスマスムードが少しずつ世間を侵食している中、ムードを追い越した僕らはプレゼント交換までしてしまった。そういえば、2年前はメイドカフェで出会ったオタク友達とこれぐらいの時期にプレゼントでチェキを交換したよなと記憶が脳裏をかすめる。
今年のプレゼントで僕の手元に来たのが、たまごっち。しかも海外版だった。僕はたまごっちを育てたことがなかったので、海外版だろうが日本版だろうが違いはわからない。絶縁フィルムを抜き取ると電子音がして画面の中でたまごがモゾモゾしていた。手元のワインをちまちまと飲んで飲み切っても、たまごは孵らない。こんなに時間がかかるなんてさすが生命を扱うだけあるなと感心していた。しかし、説明書をみたら時間を設定しないと生まれないとあった。それだったら設定しなければ画面の中のたまごは死ぬまでモゾモゾしてるのかとも考えつつ、時計を見ながら今の時間を設定した。
時間を設定して、目の前にあるチキンを食べているとすぐに電子の命が生まれた。小さなボタンをぽちぽちしながらご飯をあげたり遊んだりした。小さいときはすぐにかまってあげないといけないとアドバイスをもらった。通知音が聞こえてお世話をした5分ぐらい後にまた通知音がなった。これは忙しくなるかもと思いつつお世話をしていたが、その後はこちらの都合を考慮しているかのように程よい頻度になった。さすが人間の都合で作られた生命、お世話の頻度もちょうどよくなっている。
たまごっちが僕の人生に組み込まれた翌日、たまごっちを略すとなんて言うのか気になった。ごっちって略していると同僚から「えっ?」って顔をされた。これは違ったようだ。そんなうちのごっちは同僚みんなで育てている。僕の仕事が忙しい時間は他の人にごっちのシッターをしてもらっている。オールフォーワンの精神で20代の大人たちが一つのごっちに夢中だ。
たまたまみんなが休んだ日、僕も忙しくてごっちにかまってやれなかった。退勤間近に思い出してごっちを見てみると口が伸びていた。右上にはドクロのマークもある。あぁ命は無情なり。あっさり死んじゃうんだと思って写真を撮って同僚に送った。供養しようとぽちぽちしていたら、うちのごっちは生きていた。勝手に殺すなと怒られそうである。口が伸びたのは成長で、注射を打ってトイレを流したら元気よく動き出した。一日かまってあげなかったぐらいじゃ死なない丈夫さだった。お世話しないとすぐ死ぬと思っていたので、これには驚いた。少しぐらいは放置しても大丈夫らしい。
そういえば、僕やオタク友達もキャストに構われなくなった人から他界していたことを思い出した。かまわれなくなるとオタクもたまごっちも他界する。僕と同僚がごっちのキャストになって、ごっちが他界しないようにかまってあげなきゃと思う11月末だった。